550 エンジン仕様 今後の方針を考えてみる

私の550は速いです。実は、自分でもびっくりです。
買ったばかりの頃、スバルWRXの友人と一緒に街中を走っていたのですが、こっちは普通に発進して加速していたつもりだったのですが、WRXの友人曰く、結構踏まないと追いつけない、と言われました。
たぶん、普通に走っている場合、60km/hまでならコルベットより速い。もちろん、本気で走るコルベットには全然かないませんが、パーシャルで走っているときには550の方がトルク感があります。コルベットは踏めば速いけど、踏まなければ遅いです。一方、550は踏まなくても速いですが、踏んでも、あまり速くなりません。
だから、街乗りは550の方が楽しいです。

去年の今頃はエンジンを組んでいたのですが、そのときはチューニングというよりも、クラックの入ったクランクケースを交換するのが目的でした。その作業の最中、使われている多くの部品がチューンナップ用の改造部品であることには気が付いていたのですが、あまり余裕がなくて部品の調査をしないまま、とにかくバラして組んだだけでした。

あれから約1年。空冷VWエンジンについていろいろと知識も得て、使われている部品について、改めて調査してみました。
今のエンジンの味付けは、前オーナーによって成されたものですから、私の味付けとしてのエンジン・チューニングの方向性を考えてみます。

まず、エンジンの性格付けをするのにもっとも重要なパーツであるカムシャフトですが、
今使われているのはCB PerformanceのEAGLE Racing Cams #2288 Drag Race Cam K-8だと思われます。USのネット情報によれば、写真の打刻番号はカムの製品番号の下2桁を意味するのだそうです。
Adv. Duration 308°
Lobe Ceenter 107°
Lift 13.4mm (with 1.4:1ロッカーアーム)
160309-01

普通のクルマから見れば、十分にハイカム。Drag Race Camの名前が付いていますが、わりと普通に乗れます。ただし、例えば普通のクルマが巡航するときに使う2000rpm以下では、結構ギクシャクするのですが、スポーツカーに乗っているから許している面が多々あります。これがセダンだったら、何か調子が悪いんじゃないの?と助手席の人が心配するかもしれません。
作用角が308°なので、シングルスロットルだと少し厳しいかもしれませんが、独立スロットルになっているので、問題ありません。アイドリングは900rpmでも不安感はありませんが、振動が大きいので1000rpmくらいがちょうど良い感じです。当然、3000rpm以上になると、排気音が連続しはじめて、気持ちよくなってきます。7000rpmまで問題なく回りますが、安全をみて、レブリミットは6500rpmに設定しています。
バキュームも普通に出ているように思います。もっとも、このクルマはブレーキ・ブースターなども付いていないので、バキュームなんてどうでも良いのですが。

私としては、もっと作用角の広いカムで、バリンバリンにしたいところです。アイドリングはもっとラフな方が雰囲気が出るし、低回転も、もっと扱いにくくても全然大丈夫。
次にクランクケースを開けるときが来たら、カムは#2299にしてみようかと思います。
Adv. Duration 322°
Lobe Ceenter 107°
Lift 15.5mm (with 1.4:1ロッカーアーム)
リフト量が少し大きいので、ピストンに当たるかも。
その場合は、#2292
Adv. Duration 321°
Lobe Ceenter 107°
Lift 13.4mm (with 1.4:1ロッカーアーム)

カムギアは写真でわかるようにストレート・カットになっています。ヒュンヒュン音がして楽しいです。カムギアをストレートカットにする理由は、建前ではカムのスラストベアリングの負荷を減らすという名目ですが、実際には、このヒュンヒュン音のために皆ストレート・カットを入れるのではないかと。私も、ストレート・カットの音の方が好きだし。
使われているパーツは、たぶんCB Performance #1399。これを書いていて気が付いたのですが、このカムギアはタイミング調整ができるようです。カムシャフトを固定しているボルトのワッシャの穴がエキセントリックになっていて、それらを交換して調整するようです。残念ながら、他の調整用ワッシャを前オーナから受け取っていないので、実質、調整できませんが。
ストレートカットのカムギアの音が気に入っているので、これはこのまま。

それから、カムに組み合わせてあるロッカーアームは、シャフトのエンドキャップに赤アルマイトの部品が使われていることから、Scatの1.4:1だと思うのですが確証はありません。というのも、ネットに上がっている写真だとアームにScatの刻印があるのですが、私のにはそれが見当たらないから。ただ、刻印無しのものもあるみたいなので、それかもしれませんが。
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私がこのエンジンで目指そうと思っているのは、超絶に軽く回るエンジンです。パワーは現状で十分なので、スロットルペタルにちょっと力を込めるだけで、弾けるように回る感じ。だから動弁系の部品は極力軽く、フリクションも少なくしたい。このScatのロッカーアームは人気の製品みたいですが鍛造のクロモリ鋼で、今どきにしてはちょっと重いんですよね。
アメリカンV8のパーツとしてよくある、アルミ製のローラーロッカーはないものだろうか、と思って探していたら、やっぱりありました。
Pauter Machine
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まあまあ今風のデザイン。次は、これにしてみますかね。

プッシュロッドは、メーカ不明ですが、重量からアルミ製だと思います。意外に軽いです。ハイカムに強化バルブスプリングが入っているのに、大丈夫なんだろうかと思いますが、特に曲がったりしている様子はありませんでした。意外と丈夫なようです。
これも、最新のアメリカンV8だとカーボンファイバー製のものがあるのですが、空冷VW用にはまだないようです。でもアルミ製でも十分軽いので、これはこのままで良いでしょう。しかし、結局のところ、他の要素でプッシュロッドの長さは変わってしまうので、何にせよ交換必須ですが。

続く。