[Cadwell] 計器類の検討

もともとこのクルマに取り付けられていたSMITHの機械式水温計がまったく動作していませんでした。エンジンを始動するときには、いつもPCをつなげてMOTECのデータを読んでいたので、これまで気が付かなかったのですが、昨日はPCなしで動かしていたので、気が付きました。
今日、試しに水温計の感熱部をヒートガンであぶってみましたが、反応なし。別に取り外してあった油温計の方も試してみましたが、こちらもまったく反応なし。両方とも壊れているみたいです。

機械式の温度計は、感熱部に封入された液体(エーテル)が、熱で気化することで蒸気圧を発生し、毛細管で繋げられたメータ本体内のブルドン管によって針を動かしています。長い年月のあいだに、どこかに亀裂が発生して、液体が抜けてしまったのでしょう。
油温も水温もSTACKのダッシュ・ディスプレイ内にデジタルで表示しているので、独立したメータの必要はなく、廃止決定です。
同じく、SMITHの機械式油圧計も付いていましたが、これは取り付けネジの規格が特殊なのと、機械式油圧計は、油圧そのものをメータ本体内に持ってきていて危険なので、これも廃止。機械式油圧計の配管が外れて、エンジンオイルが足にかかり、火傷した事例を知っています。
そもそも、電子機器の信頼性が上がった現代において、機械式メータの存在意義はありません。機械式の方が信頼性が高いという意見がありますが、人間が表示を読み取る以前に、エンジン制御に使っているセンサ類は、すべて電気式ですから、
「電気式は接触不良や断線の恐れがある。」
という主張は、取り付け作業が不備なだけで、電気式の信頼性が低いということはないと思います。

というわけで、カドウェルに取り付けられていた、機械式の水温、油温、油圧計はすべて廃止します。これらは、STACKのダッシュ・ディスプレイが液晶デジタル表示しているので、問題はありません。
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これにより、機械式メータが付いていた場所に空きが出るので、何を付けるか考えました。
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今回、ターボエンジンになったので、ブースト計は付けた方が良いでしょう。もちろん、MOTECは吸気管圧力を把握していますが、それを知るにはPCを繋がなければならないので、走行中に異常ブーストがわかるように、独立したメータを付けます。
それと、排気温度計。これもターボエンジン特有ですね。排気温度は、MOTECも把握していません。MOTECはラムダ制御のためにA/Fは把握していますが、排気温度については、MOTECの基本制御パラメータになっていません。
A/Fを見ているなら、排気温度計はいらないのでは?と思う方もいると思いますが、A/Fは燃料の濃い/薄いを、排気温度は点火時期をみます。高負荷領域でノッキングを恐れて点火時期を遅くすると、排気温度が上がってきて、タービンブローに繋がります。あとは、クルクル変わるA/F計よりも、ゆっくり変化する排気温度計の方が状態を把握しやすいです。
最後の一つですが、耐久レースで一番重要な燃料計が良いと思います。燃料計はダッシュ・ディスプレイにも付いているのですが、切り替えないと表示しません。耐久レースでは給油のタイミングが順位を大きく変えるので、消費量を常に把握しておきたいものです。
ただ、一つ大問題があります。カドウェルは、スプリントレースを前提としたレースカーなので、燃料タンクにセンサーが付いていないのです。タンクの中には、泡立ち防止のスポンジが入っているので、汎用のセンサーも付けられません。これはどうしたものか。悩みます。