550 Spyder 点火系アップグレードを考える

私の550 Spyderは、エンジンが温まってくると中回転粋で少し多めにスロットルを開けたときに、軽くノッキングします。ギリギリを狙っているエンジンではないので、少し点火時期を遅らせてみようと思いました。昔懐かしいディストリビュータ、通称デスビのクルマなので、点火次期調整はコンピュータでデータを書き換えるのではなくデスビを回すという作業をします。

ガレージの奥のコンテナの中を散々探して見つけ出した、タイミングライト。まさかこれを再び使う日が来るとは思いませんでした。
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でもって、これがデスビ。今時のクルマには付いていません。若い人は見たことない人の方が多いかもしれませんが、私が免許を取った時代は、これが付いているのが当たり前でした。
点火時期は、これを回して調整します。見たところバキューム進角は付いていないので、このままタイミングを見ることにします。
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ところが。
550スパイダーは、RR用として設計されたエンジンをミッドシップにするために、本来とは逆向きにエンジンを搭載しています。なので、クランクプリーが良く見えません。というか、普通のクルマではプリーの側面にあるはずの、点火時期の目盛りが付いていません。ミラーを突っ込んでみると、こんなところに目盛りが。さらに、目盛りはあっても圧縮上死点を示す指針が見当たりません。どうすんだ?これ。
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先日購入した解説書を読んでみると、圧縮上死点はクランクケースのパーティングラインのところにあるらしい。タイミングライトを当ててみればそれが正しいかどうか、だいたい判ると思うのですが、ミラーを突っ込んだ状態でエンジンを回して上死点の指針を探すのは、さすがに恐いので、とりあえず今日はあきらめ。勘で点火時期を調整できないこともないけど、とりあえずやめておこう。

せっかくなので、点火方式を確認してみます。MSDが付いているのでトランジスタ式は間違いないですが、フルトラかセミトラかを調べてみます。
デスビキャップを外して、ローターを引っこ抜いて、カバーを開けてみたところ、マグネット式のフルトラでした。良し良し。
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それにしても、こういうのって私はいつの間にか覚えましたけど、最近になってクルマに興味を持った人って、どうするんだろう。今時のクルマは、クランク角センサの信号を元にECUが点火信号を作り出すから、クルマをいじっても原理がわからないよね。解説している本とかもあるのかなぁ。

それはともかく。点火時期調整をどうするかなぁ。将来的には、クランク角センサをつけて、コンピュータ点火制御を導入するつもりではいるのですが、それはまだ先の予定。
まあ、簡単にやるなら、リタード・コントロールを追加するですかね。
リタード・コントロールとは、遅角制御。点火時期を遅らせるデバイスです。いろいろな種類のものがありますが、今回はデスビを回す代わりに導入するので、こんなのがいいかと思います。
MSD Adjustable Timing Control #8680
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これは、点火タイミングを拾って15°まで遅角できるデバイス。クランク角を読んでいるわけではなく、点火信号を拾っているので、進角はできません。進角は点火タイミングから見ると未来のことになりますからね。でも、実は進角できるようにすることも出来るのです。このタイミングコントロールを7.5°にセットしたときに、基準の点火タイミングになるようにデスビを回しておきます。すると、7.5°のところが0°になって、+/-7.5°の変更が可能になるというわけ。今回は遅角させるだけが目的だしデスビを回したくないのが理由なので、そういう設定をする必要はないですが。
だいたいこれの売値が$153。まだ、気軽に買える値段です。

それとも、いっそのことこれに行っちゃうかですね。
Programmable Digital-7 Plus #7531
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PCを使って点火時期マップが書けるやつです。デスビのピックアップで動作できますが、クランク角センサにも対可能。機械式のデスビの進角制御はどうしても大雑把すぎるので、これを使えば点火時期制御はかなり緻密に出来ます。しかし、セッティングには時間がかかるし、お値段も相応で、大体$820。ちょっと気軽に買える金額ではなくなってきます。もう少し足せば、汎用のECUが買えてしまうので、そうするとコイルパックを追加してデスビレスにもできるし。
悩むところですが、まあ実は、この悩んだり調べたりしている時間が楽しいわけです。