クランクケース交換 28

油圧警告灯が点灯する原因を調べます。
きちんとベアリングのギャップを計測して組んだエンジンが、警告灯が点くほど油圧が低くなるのは考えられないので、原因はプレッシャーセンサーの不良か、あるいはオイル・プレッシャーのレギュレータシステムが正常に動作していないがです。

Amazonに注文した油圧計が届くまで、プレッシュー・レギュレータのシステムを調べます。
このエンジンは、デュアル・オイル・リリーフ・バルブ・システムと言って、レギュレータ・バルブが二つあります。
一つ目は、オイル・プレッシャー・リリーフ・バルブで、オイルポンプの直後にあります。エンジン・オイルの温度が低くて圧力が高い場合、ここからオイルの一部をサンプパンに戻して圧力を下げます。オイル温度が上がってきて、オイル粘度が下がって圧力が低くなると、オイル・クーラーへの経路を開いて、油温を下げます。
二つ目は、オイル・プレッシャー・コントロールバルブで、油圧系統の一番最後に付いていて、油圧が高いときにこのバルブが開いて油圧が上がりすぎないようにするものです。

一つ目の、オイル・プレッシャー・リリーフ・バルブは車載状態で取り外しできるので、まずはこれを外してみます。
これが外したバルブ本体。目視では特に問題ありません。ボルトを外してしばらくしたら、重力でポトンと落ちてきたので、このバルブがかじって動かなくなっているという問題は、特になさそうです。

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二つ目のオイル・プレッシャー・リリーフ・バルブは車載状態だと追加したサンプパンが邪魔して外しにくいです。クルマの下に潜って悩んでいたら、宅急便のトラックがとまって、ドライバーがAmazonの箱を持ってきました。昨夜に注文した台湾製の油圧計です。
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そこで、プレッシャー・リリーフ・バルブを外すのは後回しにして、チャチャっと油圧計を取り付けました。
この作業は、どこも削ったり切ったりする必要がないので簡単。油圧の取り出しは、プレッシャーセンサーを分岐させるのではなく、オイルフィルターのところから。いわゆるサンドイッチ・ブロックを使います。なぜなら、クランクケース側のネジの規格が不明だったから。普通はNPTかRc(PT)が使われていると思うのですが、ある有名ショップのサイトではM10と書かれていました。油圧系にメートルネジは使わないと思うのですが、なにしろ基本設計の古いエンジンなので、そういう事もあり得る可能性も捨てきれず。トラブルの基になるかもしれないので、Rcネジであることが確実なサンドイッチ・ブロックを用意しました。
そういえば、Amazonのレビュー欄に、「オイルが漏れまくりで大変だった」と書いてありましたが、それはシールテープを巻いていないからです。最近のこの手の製品は、管用ネジにあらかじめシール剤が塗布されているものですが、これは素のままでした。管用ネジにはシールテープを巻くという基本的に知識もなく、製品に文句をつけたりするので、レビューも信用できません。ちなみに私はシールテープではなく、塗布するタイプのシール剤を使います。シールテープは、はみ出した部分がゴミとなってオイル流路をふさいだりすることがあるからです。
通常は面倒な電源系の配線ですが、こんなこともあろうかと、電気系の配線には電源取り出し用の予備配線を作っておいたので、面倒な電源系の配線も簡単に済みました。

メータ本体はシフターの位置に設置。約30分ほどの突貫工事で取り付けしたのですが、意外といい感じに付きました。きちんと配線経路をまとめれば、テスト用としてではなく、このまま実用しても良いかもしれません。
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そしていよいよエンジン始動。
エンジンマウント・フレームをきちんと取り付けた事で異音がなくなっているハズ・・・
だったのですが、盛大に異音がします。しかも昨日より悪くなっているような気がします。
そして油圧ですが、油圧警告灯は正常でした。警告灯が点灯しているとき、本当に油圧がありません。油圧計で油圧の動きをみてみると。

  • エンジン始動→アイドリング:2barくらいで安定
  • 空ぶかし→アイドリング:4barくらいに上がってから、徐々にゼロへ。そして最終的にゼロ
  • もう一度空ぶかし→アイドリング:4barくらいに上がってから、1barくらい、そしてそのまま2barに上がって安定

というような感じで、油圧の挙動が変です。空ぶかしすると油圧は正常に上がりますが、そのあとゼロになったり、普通だったり。やはりこれは、レギュレータの動作がおかしいですね。空ぶかしして油圧が上昇するので、レギュレータがバルブを開いて圧力を逃がすのですが、それが開きっぱなしになっているのだと思います。
だとすると、異音の原因は、ベアリングが逝ったのかもしれません。

念のため、オルターネータのベルトを外してみました。異音に変化はないので、オルターネータからではなく、やはりエンジン本体。
プラグを外して、セルモータを回してみるとわずかに異音がするようなしないような。クランクプーリーにレンチをかけて手で回してみると、ある箇所で僅かに引っかかりというか、ちょっと感じるものがあります。これはベアリングに傷が入った可能性が高いですね。最悪の事態です。

レギュレータに関しては、ちょっと思うところがあって。オイル・プレッシャー・リリーフバルブを入れたとき、ちょっと渋さを感じました。しかし、高い油圧のかかるところだし、このくらいの渋さなら問題なかろうと思ったのですが、それが問題だったのかもしれません。いずれにせよ、エンジンは降ろすだけでなく、もう一度クランクケースを割る必要があります。

まあ、加工すべきところはすべて済んでいるし、一度やっているから次は作業は早いと思うし。ゴールデン・ウィークの後半にでも、やるかなぁ。

というわけで、ダムサンデー・フェステイバルは絶望的な状況となりました。これまでのエンジン組みの経験で、こんなのは初めてです。