レヴォーグの駆動系とボディの展示

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スバルのビジターセンターのエントランスには、レヴォーグの駆動系の展示がありました。
スバルのカタログなどではエンジンが小型であることが強調されているのですが、これを見た私の第一印象は、エンジンが大きいということでした。どうしても、同じエンジン形式ということで550Spyderが比較基準になってしまうからなのですが、それと切り離して冷静に考えても普通の直列4気筒よりも大きいように思います。
それから、エンジン搭載位置が意外に高い。ここで言っている搭載位置はクランクシャフトの位置を言っているのですが、AWDシステム用のトランスファーなどがあり、フロントのドライブシャフトよりも高い位置にクランクシャフトをもってこなければならない都合で、この位置になっているのだと思います。
水平対向エンジンの重心位置は、クランクシャフト付近にあって、確かにエンジン単体で比較した場合は、他のどのエンジンよりも低重心だと言えるのですが、車両搭載状態においては、そのクランクシャフトの位置が高いので、普通の四気筒エンジンよりも低重心かというと、その差はわずかでしかないように思います。
そして、エンジンが大きくなっている理由は、やはりDOHC形式であるためで、それは販売戦略上の都合なのではないかと思います。1万回転以上を回すのであればともかく、7000rpm程度ならOHV形式でもなんらストレスなく回りますし、大きなバルブ径を欲しいということであれば、ヘミヘッドも4バルブもOHV形式で実用化されています。この種の実用エンジンが、DOHC形式にするのは「DOHC=高性能」というイメージを販売イメージとして利用するためだろうと、私は考えています。だって、どう考えてもOHVの方が軽量・コンパクト。スバルのこのエンジンは550Spyderの2Lエンジンと比較すると、3~4倍の体積がありそうに見えます。
したがって、こういう形式の水平対向エンジンは、スバルが広告で強調するほど小型、軽量、低重心ではないのではないか。むしろ重量として重いだろうし、組み立ての手間の多さを考えると、設計の足枷になっているのではないだろうか。と思いました。ただ、マツダのロータリーと同様に、水平対向はスバルのアイデンティティーでもあります。マツダは結局、ロータリーエンジンに拘りすぎたのが悪いほうに作用してしまったというのが一般的な見方ですが、スバルの場合はマツダよりもコアなファンが多いことと、会社としてあまり規模を拡大しようとしていないようなので、多少のネガティブがありながらも、この路線で進むほうが良いのかもしれません。

なんて事を、この展示を見ながら考えてました。

それからもうひとつ、展示室の2階にはレヴォーグの車体のカットモデルがあって、先の駆動系の展示とこのカットモデルが見られただけでも、十分な収穫が得られたと思います。コルベットのような注目度の高いクルマは、イベントなどでカットモデルを目にすることができますが(ただしアメリカの場合)、レヴォーグのような普通の実用車では、なかなかそういう機会もないと思うのです。
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車体に色分けがされているのは、赤い部分がクラッシャブル構造、青い部分が乗員保護のための強度の高い構造だそうです。使用している材料の違いを示しているのではありません。こういった技術展示は、常に最新のものに入れ替えると思われるので、レヴォーグの展示が見られるのは、今だけ。次の新型車が出てきてしまえば、その新型を展示するでしょうから、今の時期に見学したというのは、私にとっては良いタイミングでした。
ある自動車評論家による自動車の技術解説記事によれば、レヴォーグの車体剛性は現在の日本車の中では最高の部類に入るそうです。残念なことに、私は車体剛性に関しては、昔から鈍感なほうで、これが日本車最高と言われれば、そうなのかなと思う程度だったりするので、私にとっては宝の持ち腐れ的性能です。まあ、この辺の真価が本当に発揮されるのは、コーナーリングがどうのこうのではなくて、衝突時だと思うので、それなら永久に真価がわからなくても良いと思っています。