550 Spyder Black Boxの取り付け その4

前回、点火信号をまったく読み込まず、初期不良と思われたので、代替品を送ってもらいました。
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まずは、そのままコネクタを繋ぎ替えてみたのですか、現象は変わらず。
通信もするし、バキュームも計測していますが、点火信号を読み込みません。2個連続して初期不良というのも考えにくいので、もう一度、最初から再確認してみました。
すると・・・

この図で、#10につなぐべき点火信号を、#5につないでいました。すなわち、私の配線ミスです。#5は、マグネットタイプのピックアップを使っている場合につなぐべきところで、私の使っているイグナイタはホールセンサタイプなのです。何かで勘違いして、作業時にマグネットタイプの説明を見ていたみたいです。
改めて#10につないでみたところ、正常に点火信号を読み取りました。試しに、最初のBlack Boxに戻してみると、やはり正常に動作しました。
初期不良ではありませんでした。サポートの人、ごめんなさい。
ということで、こちらのミスですから返送料がもったいないので、新しいものは買い取ることにしました。スペアとして持っておくか、欲しい人に売ることにします。

 

ここで、Black Boxについて、復習しておきましょう。
Black Boxは、点火時期を制御するコンピュータユニットです。通常、この手の製品はクランク角センサから点火時期を作り出すのですが、このBlack Boxの特徴は、デスビの点火信号から点火時期を作り出すことにあります。したがって、ギャプレター車にクランク角センサを追加する必要がありません。
普通に考えると、デスビの点火信号から遅角は出来ても進角ができないのですが、Black Boxを使う場合は、デスビをBTDC70°に設定することで、進角を可能にしています。どういうことかと言うと、BTDC70°でエンジンからの点火信号が来ます。そしてたとえば、TDCで点火させる場合には、Black Boxは70°遅らせたタイミングで点火信号を出します。-70°+70°で0°というわけ。だから、BTDC20°にする場合は、50°遅らせたタイミングで点火信号を出せば、-70°+50°=-20°ということになります。

550 Spyderを買うときに、久しぶりにキャブレターのクルマに乗りたい、というのが目的のひとつでした。
効率や最高出力、乗りやすさなどはインジェクションに分があるのは明らかですが、キャブレターにはある種の「味」があります。趣味のクルマには、そういう「味」を求めても良いと思ったのです。
ただ、乗ってみると、キャブレターの「味」は良いのですが、点火時期制御が甘い。とくにこのクルマにはバキューム進角が付いていなかったせいもあって、加速時にノッキングしないようにすると、パーシャル時の点火時期がほとんど進められなくなってました。バキューム進角付きのデスビも売っているのですが、それでも機械式には限界があります。キャブレターで燃調が完璧にできないのは「味」になりますが、点火時期が進められないのは、単なるダルいエンジンになってしまうので、残念でしかありません。
ならば、点火時期だけコンピュータ制御にしようと思ったのが、Black Box購入の理由です。

 

で、点火時期制御をBlack Boxで行うと、こういう事になります。

横軸がMAP(Manifold Air Pressure: 吸気管圧力 単位はkPa)、縦軸が回転数(単位はrpm)です。MAPは右に行くほど高く、回転数は下に行くほど高くなります。表示は点火時期でBTDCで表されています。
このテーブルによって、負荷と回転数ごとに点火時期を決められるというわけ。

 

1時間ほど試走して、作ったのがこの点火時期テーブル。
10数年ぶりに、走っては書き換え、走っては書き換えという作業をしました。まだまだ詰める余地はたくさんあるし、正直、4000rpm以上の高負荷領域は恐くて試せないので、適当なんですが。
しばらくは、常にPCをつなげて走って、気が付いたら書き換えという作業を続けます。
ちなみに、レブリミットは6500rpmに設定して、テーブルは7000rpmまでにしました。
400rpmで10°にしているのは、セルモータの負担軽減です。
初期値から全体に進めていって、ノッキングする領域を見つけたら、そこだけ2°ずつ下げていくという手法をとりました。一応、3000rpm以下は、いい感じです。
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