DanvillにあるBlackhawk Museumに行ってきました。
    ベイエリアからだと1時間弱のドライブ。途中、山の中を抜けるので、ドライブ自体も楽しめます。
    
    Blackhawk Museumは、Blackhawkショッピングセンターに併設されている自動車博物館。Blackhawkショッピングセンターは、こんな感じの美しく整備されたショッピングセンターです。休日でもあまり混雑してなくて、静かです。
    
    これがBlackhawk Museum。建物もとても綺麗で、おそらく相当な費用がかかっていると思います。
    前回訪れたのは2006年の1月でした。まだ、アメリカに住んでいた時です。
    
    2階構成になっていて、これは1階の様子。持って行ったのがコンパクトカメラなもので、うまく写真で雰囲気が出せないのが残念ですが、とても落ち着いた空間になっています。
    日曜日でもお客さんは少なくて、じっくり見ることができます。
    ここのコレクションは素晴らしいものばかりで、ペブルビーチを始め世界中のコンクールで入賞したクルマも多数あります。
ここには、大体1960年代くらいまでのクルマが展示されていますが、見どころは1940年代以前のクルマでしょう。本当のクラッシックカーです。普段見慣れないせいもあるのでしょうが、WW2以前の高級車は、まさに芸術品の域に達しています。素晴らしい造形美で、そういったクルマを見た後では、近年のクルマの形状がつまらなく感じます。
いくつか、私のお気に入りを紹介しましょう。
    
    フランスのクルマです。Daiahayeと言うそうです。2シーターのロードスター。
    
    アメリカ。かの有名なデューセンバーグです。
    
    そしてこれは、このミュージアムの目玉である、キャデラック。
    これがクルマですよ。素晴らしいじゃないですか。走る芸術品とは、こういうクルマのことを言うのだと思いました。キャデラックは今でも高級車メーカとして生産を続けていますが、現代のキャデックの何とつまらないデザインであることか。
    こんなクルマで走ってみたいですねぇ。
    
    ロールス・ロイス。
    この色。もしかしたら、お金持ちのお嬢様のクルマだったのかもしれません。クルマを眺めながら、当時の生活を想像しみると楽しいです。
    ロールスロイスも、高級車として今でも生産を続けていますが、本当の高級車だったのはこの頃なんでしょうね。今時のロールスロイスは、確かに値段は高いですが、外観は普通のクルマと大差ないです。クルマは、このくらいの時代が一番華やかだったのではないかと思います。
    
    これもアメリカ車です。名前を忘れてしまったんですが、確かクライスラーじゃなかったかと。これも、流線型でカッコいいです。
    
    もちろん、ここには貴重なフェラーリのスポーツカーなどもあるわけですが、フェラーリなんかはここでは新参者なんです。WW2以降に出てきた新興メーカなわけですから。
    もちろん、日本車なんか微塵もありません。
    トヨタが世界一になったとしても、ホンダが市場を席巻したとしても、ここに日本メーカのクルマが並ぶことはないでしょう。トヨタがどんなに高い値段のクルマを作ったとしても、ここに並ぶだけの歴史と品格はどうしたって持てません。
    このミュージアムで夢のような時を過ごし、外のパーキングロットで周囲を見渡した時、クルマのデザインがいかにつまらなくなってしまったかということを思い知らされます。
    クルマのデザインに個性が失われ始めたのは70年代に入ってからです。その頃、安くて丈夫で信頼性が高い実用一点張りの日本車が世界市場に流れ始めました。それらのクルマのデザインは、理屈に基づくものでした。空気抵抗だの取り回しだのスペース・ユーティリティだの。それらによってテールフィンがなくなり、オーバハングが短くなり、メッキグリルがなくなって、今のクルマになりました。
    安くて高性能なクルマから得られたものは大きいですが、失われたものも大きいです。そして、現代のクルマの方向性が正しいかどうか、私にはわかりません。
    少なくとも、クルマのデザインの美しさは退化したと思います。
    自動車は人類史上で最も偉大な発明であり、人類の作った最高傑作だと思っています。なぜならば、自動車が世に生まれてから100年以上たち、これまでに自動車に関わってきた人の延べ人数を考えると、どれだけ多くの人たちが自動車に心血を注ぎ、命を懸け、泣いたり、笑ったり、怒ったり、喜んだり、悲しんだり、悔しかったりしたでしようか?文明社会のほとんどの人が、何らかの形でクルマに関わった結果として、今の自動車があります。これだけ多くの人類が関わった物は、他にないでしょう。