[Project C3] エンジン換装計画 その3

[Project C3] エンジン換装計画 その1
[Project C3] エンジン換装計画 その2

ノーマルの427エンジンがせっかくTri-Powerなので、1万と400ccエンジン(632エンジン)もTri-Powerにしたくて考えてみました。

"Tri-Power"。響きがカッコいいでしょ。1万400ccといい、Tri-Powerといい、このエンジンはカッコいいと思わせる響きが全てです。言うなれば、中二病エンジン。

これだけの排気量なので、適当にパーツを組み合わせても800hp程度は出ちゃいますから、「カッコイイ」という基準でパーツを選んでも全然問題ありません。そもそも、真剣にパーツを選んだら1000hpを超えてしまうらしいですから。
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632エンジンでTri-Powerにしているのは、ネットを検索した限りでCorvetteのForumで1名。特に記事などはなく、あまり一般的ではないようです。人がやっていないなら、なおさらやってみたくなります。

一番肝心なのは、Tri-Power用のインテークマニホールドが使えるかどうか。

Tall DeckのエンジンはSTD Deckのヘッドを使うことができるのですが、デッキハイトが高くなっているので、そのままではインテーク・マニホールドが付きません。直列エンジンであれば、デッキハイトが高くなっても、インテークマニホールドはそのまま付きますが、V型エンジンはVの谷間が広くなってしまうのです。

もちろん、Tall Deck用インテークマニホールドを使えば何も問題はないのですが、私の調べたところではTri-PowerのTall Deck用マニホールドは見つかりませんでした。

どうしたものかと調べていたら、こんなものを発見しました。

Tall Deck用アダプター。
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広がったVバンクの隙間を埋めるプレートです。作ろうかと思っていたら、すでに製品として売られていました。

これを使えば、STD Deck用のTri-Powerのインテークマニホールドが使えます。やった。

次にキャプ。

632エンジンに必要なキャブの吸気量を計算してみます。計算方法の説明は省きますが、最高回転数を6000rpmとすると約930CFM。

ヨーロッパ系のキャブレターは、その大きさをバレル径(φ45とか)で表しますが、アメリカ系のキャブレターは吸気量で表します。たとえばHolley 650CFMというのは650 Cubic Feet per Minuteの事。一分間に650立方フィートの空気を吸えることを意味します。

計測はエンジン側を1.5in.HGの圧力にしたときにキャブレターを流れる吸気量です。in.Hgとはまた古風な単位ですが、これを決めたのが1950年代のSAEですから仕方ありません。ちなみに、これは4バレルキャブの場合で、2バレルキャブの場合は3in.Hgで計測されます。

こういう単位で表されているので、エンジンの排気量と回転数からだいたいの適合キャブレターは計算で導き出すことができます。あとは、使うカムだとかマニホールドだとかで多少の上下をさせてやればOK。実に合理的です。

細かいことを言うと、レース用のキャブは設定圧力が違うとか、DryレートとかWetレートなんていうのもあるのですが、キリがないので、ここでは大雑把に説明しました。

Tri-Powerは2バレルキャブが3つです。それぞれのキャブは500CFMなので、全開にしたときは1500CFM。先に書いたように2バレルは4バレルと計測方法が異なっているので、4バレル相当にするには1.414(√2)で割ります。すると1061CFM。おお、なんとぴったりじゃないですか。

イケる、イケる。

で、次の問題はフロントフード。ちにみに、日本語でボンネットというのは、イギリス英語です。アメリカ英語ではフロントフード。

デッキハイトが高くなって、インテークマニホールドも高くなったので、エアクリーナーの位置も高くなっています。その差0.28インチ。もともとTri-Powerはエアクリーナーの位置が高いので、それを補うためにエアクリーナーが薄くなっているのですが、多分0.28インチ上がるとフードの内側に当たる。

私のことを昔から知っている人は、

「だったら切るんでしょ?」

と言うと思いますが、もうそういう歳でもないのですよ。

あまりやりたくはないのですが、これを使います。

L-88フード。
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レース用として設定されていたL-88エンジンはインテークマニホールドが高いので、Big Block用のフードをもってしても収まらなかったのです。そこでGMはL-88エンジン搭載車には専用のハイライズのエンジンフードを与えたのでした。

でもね、このカタチが当時ウケて、L-88を積んでいないのに、このフードを付けたCorvetteがいっぱいいたのです。確かにカッコいいとは思うのですが、L-88でもないのにこのフードを付けるのは、ミーハーっぽくて嫌だ。

例えば、ちょっとCorvetteの事を知っている人が、

「お、L-88なのか?」

と思って近づいてくるわけですよ。で、フードの中を見るとTri-Power(L-88はシングルキャブ)なので、

「なんだ、エセL-88か」

と。本当は1万と400ccという、中二病エンジンを積んでいるにもかかわらず、がっかりさせてしまうと。Big Blockのデッキハイトの違いなんて、よっぽどBig Blockを見慣れている人じゃないとわからないですから。

でも、仕方がない。

フードの側面、ノーマルでは427というバッジを632に変えて、判ってくれることを願うのみです。
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