2015年7月21日

スバル 工場見学

レヴォーグを買ったとき、せっかく近くにスバルの生産工場があるので、工場見学できないものかと調べてみたら、ちゃんと見学コースが用意されていました。ただし、事前に10名以上の団体で申請することが要件になっていました。そこで、会社の夏休み(スバルは操業日)を見学日に設定して、会社の同僚に声をかけて申し込んでおきました。

14名、クルマ5台に分乗して、見学コースのあるスバルの八島工場へ。
到着すると、ビジターセンターの玄関ホール前でスタッフの方がお出迎えという予想以上の対応におどろきつつ、案内されて綺麗なエントランスホールから巨大なプレゼン室へ。
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プレゼン室で10分ほど、自動車の生産方法に関するビデオを見ます。この工場見学は小学校の社会科見学によく利用されるということで、ビデオの対象年齢は小学校の高学年向けだそうです。しかし、ビデオの後に、説明員が会社の成り立ちや拠点の役割、生産規模などのスライドを説明してくれたのは、大人向けとして加えられた内容だと思います。我々に配布された資料も、いわゆる会社説明資料で、この説明を受けていると、仕事で工場見学に来たような気分で、ちょっと頭が仕事モードに切り替わってしまいそうでした。

工場見学自体は、工場の天井付近に張り巡らされたキャットウォークを歩きながらところどころで説明を受けるというスタイルで、もう少しゆっくり見たいと思いましたが、まあ仕事で来たときのように細かいところを観察したり評価したりするのではなく、雰囲気を感じるくらいでちょうど良いのかもしれません。
私は自動車工場の見学は初めてだったので、比較対象を持ちませんが、いくつかの自動車工場を見学したことがある同行者によれば、「昭和の香り高い工場」ということだそうです。ヨーロッバの自動車メーカの工場は、ピカピカの床に明るくて真っ白な内装でSF映画の撮影に使えそうな雰囲気だったとのことでした。それが、見学用に特別に作られたものなのか、また、どこの生産ラインも同様なのかはわからないそうですが。それに対してスバルの工場は、まあ「昭和」という言葉で評された事から想像してみてください。多分、それで合っています。

少し驚いたのは、車体の部品をこの工場で鉄板のロール材からプレス加工していることです。自動車メーカはアセンブリ・メーカと聞いていたので、車体の部品も富士重工車体というような名称の子会社があって、そこで製造されたものがここに運ばれてるのだと思ってました。少なくとも私が何度もYou Tubeで見ているコルベットの製造工場ではそうです。しかし、ここでは工場の中に巨大なプレス機がドッカン、ドッカンと動いていて、プレスした車体部品が出てきてました。

私も製造業に関わっていますが、大量生産ではないので、このようなラインを見る機会はほとんどなく、ロボットと並んで、人間がまるでロボットのように動いて作業している姿は、少しだけ怖かったです。姿かたちは人間とは違いますが、隣の同僚がロボットというのは、ここでは現実の事でした。
You Tubeで見るコルベットの工場は、もう少し人間の動きに余裕が感じられましたが、それは映像だからなのか、あるいは会社の取り組み方の違いなのか、はたまた国民性なのか、わかりませんが雰囲気は違うものです。

工場の中は暑く、全館冷房は入っていないようでした。作業者のところにはスポットクーラーがあるようでしたが、ラインを定期的にとめて水分補給時間を設けているということなので、文字通り汗水流して作業しているのだと思います。見学者通路も暑いのですが、通路に沿ってスポットクーラーが配置されているので、それほど厳しくはなかったです。しかし、そのスポットクーラーの熱交換器は工場建屋内に排熱しているので、これもまた工場内の温度上昇に一役買っています。
何の根拠もない、私の個人的な印象ですが、スバルのイメージは無骨、努力、根性というキーワードがあてはまります。昭和の雰囲気が漂うと評される空調なしの工場が、そのイメージと合致するのは偶然なのかどうか。作業環境としては過酷だと思うのですが、それが自動車業界での標準的なものなのかどうかは、私にはわかりません。しかし、私の関係する業界と比較すると、一部上場企業としては明らかに過酷だと言えます。

ちなみに工場内は撮影禁止なので、写真はありません。

そんな工場の見学を終えると、ビジターセンター内の展示室の見学となります。ここでも、専任の案内の人がずっと付いて、展示物のひとつひとつについて丁寧に解説してくれました。
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その展示物のなかに、とても気に入った車両がありました。
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SUBARU BART。レオーネベースのピックアップ。Chevy El Camino、Ford Ranchero、Holden UTEと同様にトラックベースではなく、乗用車ベースのピックアップになります。国内販売はされず、北米で販売され、そこそこの人気があったようです。El Caminoよりも小回りがきいて、しかも4WDだったので、砂漠でバギー代わりに遊ぶには最適だったと思います。SUBARUはトヨタやホンダと違い、純日本的会社の印象ですが、北米マーケティングが上手だったのは、今に始まったことではないのですね。私はこの種のスポーツ・ピックアップとでも呼ぶクルマが好きで、Holden UTEは本当に欲しかったです。今、スバルがEye Sight Ver.3付きで、こういうピックアップを発売していたら、間違いなく足車に選んでいたでしょう。

そのほかにも、レヴォーグのカットモデルが展示されていたりして、とても興味深い展示物がたくさんありました。もう少し、時間をとってゆっくり見たいのですが、見学時間はコースとして決められているので、満足いくまでじっくりと観察できないのは少し残念でした。

自分の買ったクルマが、どんなところで、どのように製造されているのか。その会社は、どのような取り組みをしているのか。クルマは製品だけを評価するのではなく、バックグラウンドや歴史も含めて、興味深く知ることができる数少ない工業製品のひとつです。レヴォーグは趣味車ではなく足車として購入したので、事前にそういうところを調べたりすることはなく、純粋に工業製品の性能・仕様から選んだクルマですが、それでも、工場見学を通して少しでも、クルマのバックグラウンドに触れられたのは、勉強になりました。少し複雑な気持ちにはなりましたが。

他の自動車メーカの生産工場も、機会があれば見てみたいです。それと、やはりいつかはケンタッキーのコルベットの製造工場に行かなければ、と思いました。

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