2013年4月 1日

10th Anniversary Project Part 9

これまでの記事 
10th Anniversary Project 
10th Anniversary Project Part 2 
10th Anniversary Project Part 3 
10th Anniversary Project Part 4 
10th Anniversary Project Part 5 
10th Anniversary Project Part 6 
10th Anniversary Project Part 7
10th Anniversary Project Part 8

これまで、ほとんどの記事がホイール関係になってしまっていますが、10th Anniversary Projectは外観の変更だけではなくて、エンジン・チューンアップも含んでいます。ここで言うチューン・アップとはアメリカ的な意味のチューン・アップ。すなわち、消耗部品、定期交換部品の交換です。
先日交換したPCVバルブのその一環ではあるのですが、あまりに簡単な作業なので、10th Anniversary Projectの記事にはしませんでした。

そして今回は、スパーク・プラグの交換をします。
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シボレーのV8エンジンのスパーク・プラグ交換は、実は難作業です。ツインカム・ヘッドのエンジンしか経験のない人は、かなりの覚悟をしてください。
クライスラーにはHEMIと呼ばれる人気のV8エンジンがありますが、あれが人気である最大の理由は、HEMIヘッドであるが故に、スパーク・プラグがヘッドの中央にあるからだと言っても過言ではないくらいです。
問題はコレ。悪夢の7番とも言われます。特にコルベットは、エンジン搭載位置が極端に後ろなので、プラグ交換の全時間のうち、ほぼ9割は、この7番に費やされることになります。
この写真で見せているのは、7番プラグにプラグ・ソケットを挿した状態。ソケットの差込がチラっとだけ顔を覗かせています。
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ちなみに、シボレー・エンジンは、左バンク(運転席側)が奇数番、右バンク(助手席側)が偶数番で、車体前方が小さい数字になります。したがって7番とはもっとも運転席に近い位置のことです。
こういう事情があるので、コルベットのプラグ交換を説明している文書は「7番から始めろ」というアドバイスがされています。最も難しいところを、やる気のある元気なうちに作業しろという意図なのですが、私のお勧めは、まずは2番か4番を最初に作業すること。ここは最も作業しやすい場所なので、初めてプラグ交換する場合は、ここで作業の感触をまず掴んでおくことをお勧めします。
私の場合は慣れているので、7番からはじめますが。

その前に、まずはプラグコードを抜かなければならないのですが、これがまた難関です。今のクルマは10年または10万キロくらいはプラグは無点検で行けるので、プラグコードが熱でプラグに固着しています。しかも、場所が場所だけに、しっかり掴んで引っ張るなんて事は、絶対にできません。
なので、プラグコードを無傷で外そうと思わないでください。教科書などではやっちゃいけない事とされていますが、そんな事は無視してケーブル部分を引っ張ってしまいます。運が良ければそれで抜けます。運が悪ければケーブルが切れます。そうなったら、あとはプライヤーなどでグイグイとチカラ技で抜きます。
今回の私の場合は、5勝3敗でした。
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10年使用したプラグコードは交換部品として考えるべきものなので、あっさり廃棄です。だから、ケーブルを引っ張ってしまってもOKなのです。いまどきのクルマは、プラグ交換とケーブル交換はセットとして考えます。

下の写真。上の赤いのがこれまで付いていた純正品で下の黒いのが新しいコードでアメリカでは定番のTaylar製です。
各社から様々なプラクコードが出ていて、色々と宣伝文句を並べていますが、私の経験で言わせてもらえば、プラグコードでエンジン出力に違いは出ません。もし、交換して力強くなったと感じたら、それは前のプラグコードが古くなっていてリークしていただけです。そもそも、スパークプラグという無限大の抵抗値を持ったパーツが直列に入っている回路で、ケーブルの抵抗値が大小したところでプラグに加わる電圧に対して差が出るわけないのです。
ほとんどの自動車部品の宣伝なんていうのは、BSでやっているTVショッピングの売り文句程度に考えておけば良いです。
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様々な難関を乗り越え、腕を傷たらけにして外したプラグ。
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当然ですが焼け具合に問題はありません。プラグ自体も僅かに電極がチビている気もしますが、全然問題ない状態です。10年車とは言え走行距離は6万キロ未満なので、まだ行けます。
ところで、素人向け整備の入門書には
「プラグの焼け具合をチェックすること。キツネ色だったら正常。」
なんて書かれていますが、もし黒かったり白かったりした場合の対処法には触れていないのがほとんど。
これもまたキャプ時代の名残りみたいなもので、いまどきのクルマは、プラグの点検なんて必要ありません。燃焼状態はO2センサの出力か、クランク角センサの微分値で見るのが正解。プラグの焼け具合の見方よりも、コードスキャナの使い方を解説する方が先だろう、と思うのですが。

あと、シボレーV8の場合のちょっとしたコツですが。
一気に全気筒のプラグを外さないで、1気筒のプラグを外したら、すぐに新たしいプラグを挿入した方が良いです。プラグ穴は目視できないので、プラグを外したときの角度や位置を覚えているうちに、新しいプラグを挿入すると簡単にできます。

新しいプラグの型番は41-110でライン装着時の41-974から変更されています。41-110はイリジウム・プラグで、41-974はプラチナ・プラグという事らしいです。それに伴って、プラグギャップも指定値が変更になっていて、41-110では0.04インチ(1.04mm)です。41-974時代の0.06インチより狭くなっているので注意。GMからは車両の指定値(0.06インチ)を無視するように指示が出ています。装着前に41-110のギャップを全部測定しましたが、規定値の0.04インチになっていました。
アメリカのフォーラムでは、0.04、0.05、0.06で試した人がいて、どれも問題なく走ったが、アイドリングが一番安定していたのは0.05インチだったという話題がありましたが。まあ、どこの誰かもわからない人の実験結果よりも、メーカー指定値の方が信頼できるでしょう。

これが今回使った工具。
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ソケットレンチのエンステンションは様々な長さのものをできるだけ持っていたほうが良いです。今回は3種類+ユニバーサル・ジョイントを使っています。上の黒いパイプはレンチの柄に被せて、長さを延長するためのパイプ。10年間、一度も外されなかったプラグを外すには結構な力が必要です。
その下は、見慣れない工具かもしれませんが、サイドワインダーと言います。アメリカではどこのツールショップでも売っていますが、日本では見たことないです。V8エンジンのプラグ外しの定番工具で、使う場所を選びますが、使える場所ではかなり便利です。
右下のスレッド・コンパウンドはアルミヘッドの場合は必ず使います。アルミのネジ穴はかじりやすいので、これをプラグのネジに薄く塗ることは、必須です。前回、作業を開始したら、これがツールチェストから見つからなかったために断念しました。新たに買いなおしました。以前は日産純正品を使っていましたが、WAKO’sの方が入手しやすいみたいです。

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